骸骨は変わる
人間がこの洞窟を後にして、3日。
俺は人間の戦い方を見て、考えていた
あの人間たちは、剣を振るだけではなく、横や縦にも振っていたりしていたのだ。そこが肝なのだろう。
横に振れば体を一直線に切ることしかできない。
だが、縦に振れば、頭、首、胸。斜めに切っても、それらを攻撃することができる
「試してみたくとも、ラットではな……」
俺は、日々ラットを殺し、考える。
どうすれば早く倒せるのか
やはり、頭を切るのが手っ取り早いようだ。
俺たちスケルトンは、頭を切られただけでは死なないが、肉や皮を持つ生きているモンスターは、首を落とせば簡単に殺すことができる
「ただ素振りを続けていてもな……」
結局俺は、大きな穴の下で、ひたすら素振りを続けていた。すると、足を引きずるゴブリンが、目の前を通っていく
(ボロボロだな。群れから追い出されたか?)
血だらけのゴブリンは、天井に空いた大きな穴の下にまで歩いていくと、膝をおり、休む。
息も絶え絶えのようで、肩を使って息をしているようだ。
周りのスケルトンは無反応。元々スケルトンは、同じ洞窟内で発生したモンスターは襲わず、人間、モンスター問わず外から入ってきた敵に襲いかかる。
俺は例外で、洞窟内のラットを日々殺しているが
(これは……チャンスか?)
俺は素振りをやめ、洞窟の中を徘徊する。
ゴブリンは、こちらを見てもいない。
俺はそのまま、ゴブリンの後ろに回り込み、様子を窺う
ゴブリンは苦しそうにし、横になった
俺は静かなゴブリンに近づくと、ゴブリンの頭を押さえ、喉笛へと、剣を深く突き刺した。
「グッ、グギギ…」
喉へ突き刺したのには、理由がある。
時々見かけるゴブリン達は、俺のように喋っているように見えたからだ。俺が使っている言葉というわけではないが、仲間内に伝わる、鳴き声のようなものを発していたのだ。
俺は万が一にでも、仲間を呼ばれぬよう、まずは喉を潰し、声が出せないようにした。
1匹で行動していたこと。血だらけになっていたことから、このゴブリンに仲間はいないと判断はしているのだが、念には念を、ということだ。
「グッ…グ」
ゴブリンは、俺のことを力のない目で睨みつけたが、抵抗する力もないまま、息絶えた。
すると、俺の体が輝き始めた。初めてのことでびっくりしたが、俺は本能的にわかった。これは進化だと。
進化とは、今の段階から、もう一段階強くなれることだ。スケルトンメイジや、スケルトンウォーリア
上位モンスターと呼ばれた個体に、俺はなる
「ふむ」
光が収まる
どうやら、体が青くなったようだ。
それだけしかわからない。頭蓋骨を外し、全身をくまなく見る。全身の骨が青くなっているようだ。
恐らく、それだけなのだろう
「月のように青いな。月に比べると数段も劣るが、これはこれで良いな」
色以外、何が変わったのかはわからないが、悪くはないと思う。
今日も、洞窟を照らす月を見上げる。
俺は何気なく手を伸ばし、自分の青さと、月の青さを見比べる。
「やはり、月のほうが比べようもないほど美しい」
★★★
ステータス
名前:
種族:ブルースケルトン
ランク:F
レベル:1/5
HP10/10
MP3/3
固有スキル
夜目
スキル
剣術Lv1
称号
月を見る魔物、月の女神の寵愛
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