第87話 安堵

 瑠衣は自室に戻ってきた。


 その時、無事に帰って来れたというに安堵し、いつも通りの景色に心が癒されていた。


 あの時、誰も助けに来なかったら、この景色はもう二度と見る事は出来なかった。


 あの時、誰も助けに来なかったら、瑠衣は確実に犯されていた。

 一人で泣き、奴らに全部奪われて、二度と普通の生活に戻ってくる事は出来なかっただろう。


 だから、安心する。この景色に。


 それに何より自分を助けてくれたのが斗真だった……というのが一番の幸せだった。


(今なら、言えるかもしれない)


 瑠衣は今なら斗真とちゃんと顔を見て話せると思った。


 お礼も思い出も……振った理由も全て……。


(行かなきゃ!)


 そう思った瑠衣は斗真の部屋へと向かった。

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