第216話 視界の先

 音がする、視界は暗闇の中。


 意識はあるのに体が言うこと聞かない、逆に体に重りをつけられているよに重く、ピクリとも動かない。


 だが、顔や首にはべたべたとした感覚、そしてたまに掛る熱い空気、ぐちゅぐちゅと気持ちの悪い音が聴覚を刺激し、恐怖を感じさせてきていた。


(俺は……)


 少しずつ意識を取り戻す。


(俺は……アイツに……)


 目に力を入れ斗真はゆっくりと目を開いた。


「!」


 次の瞬間、視界に入ってきたのは恐ろしい光景。


 服はズタズタに破れ、顔はよだれでべたべた、全身からは汗が流れ、そして熱い吐息を漏らしている醜い姿をした瑠愛の姿があった。


「……お前」


 恐怖が斗真を襲う。


「あ、おはよう……斗真」


 瑠愛は嬉しそうに言った。

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