第136話 脅しのターン

「で、君の名前は?」

「え?」

「教えて?」

 瑠愛は斗真に名を聞く。


 それに対して斗真は嫌な顔をした、こんな人に名を名乗りたくはなかったが、何故か自然と口が動いた。


「……凪瑠 斗真、先輩と同じ魁皇心義高校の二年生です」


 斗真は暗いトーンでボソボソと名を名乗った。


「え!、マジ!?、私の後輩君なの?」

「……はい」

「そうだっんだぁ~いや~嬉しいな~、これは尚更君が泣いてた理由を聞かないとね!」

「……は?」


 瑠愛は体をグイッと乗り出してきて、再び斗真の瞳を覗き込んだ。


「せ、先輩!?」

「じゃあ、知り合いになったし教えてくれるかな?、後輩君?」

「……え、え……」


「先輩命令……」


 完全な脅しだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る