第294話 私の誕生

(最高だね…これ♪)


 瑠衣はニヤリと笑い、同時に渦巻く黒き波が自分の心を呑み込んでいった。


「ありがとう…瑠愛……ちゃん♪」

 その言葉では壊れた。


「瑠衣?どうした?」

 斗真がなんとも情けない声で私に声を掛けてきた。まぁ嫌いになっても拒絶をしてもつい最近まで愛していた相手に振られたんだ、ショックを受けてしまうのも無理は無い。


「え?何にもないよ?」

 私は弱った彼に優しく返事を返した。


「少し驚いただけだよ」

「?」

「さっきまで私はさ、まだ二人は互いに未練があるんじゃないかなって思ってたんだけど……」

「「……」」


(…おい黙んなよ)


「 どうかした♪」

「いや何でもない」

「ふぅーん、じゃあ邪魔者瑠愛ちゃんは出てってよ♪」

「え?」

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