第283話 思いを

「と、斗真……」

「……」


 部屋の雰囲気はある意味最悪だった。

 つい最近まで、お互いを好いていた恋人とは思えない程に冷え切っていて、暗く重かった。


「あ、あの……さっきは勝手に帰って……ごめんなさい!!」

「い、いや……」

「……斗真!!」

「!?」


 瑠愛が声を上げた。


「本当にごめんなさい!」

 突然の謝罪だった。


「……許せない事をしてしまったのは分かってる……でも……謝りたいの……斗真、本当にごめんなさい」

 瑠愛はその後も謝り続けた。

 長い謝罪文を付けて謝った、涙を流して謝った、自分の行動を悔いて謝った。


 その姿は辛そうだった、その姿を見ると何故か心が締め付けられた。


「……」

 でも、瑠愛に対する許しの言葉は出なかった。

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