第214話 幼馴染みの苛立ち

 ダァン!!!


 苛立ちが収まず壁を蹴りつける。


「落ち着けよ」

「……落ち着け訳ないでしょ」


 余気魅達は斗真が攫われて数分後に目を覚まし、今現在ようやく状況を把握し、己の無知さと警戒心の薄さに苛立ち、斗真を攫われてしまった事を後悔していた。


「やられたな」

「ね」


 苛立ちで震えてくる。


「聡、私早退したいんだけど」

「何するつもりだ?」

「……決まってんでしょ?」


 余気魅の目は怒りで血走り、謎の威圧感を放っていた。


 聡はその姿にゾッとし、返事は一つしか浮かばなかった。


「分かった、先生には俺から伝えておく」


「ありがとう」


 礼を言って余気魅は去って行った。


 余気魅を見送った聡はクスッと笑った。



「じゃあ、俺はもう一人の方だな?」

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