第90話 ド直球

「「………」」


 斗真と瑠衣は言葉を発さないものの、 見つめ合っていた。


(お、おい……なんか、せめて何か言ってくれよ、せっかく目があってんだからさ……何かさ、なぁ頼むよ、それにここで視線逸らしたら、意識してるみたいだろ!)


(ほら、早く何か言いなさいよ、顔が熱くなってくるじゃない!)


 二人は互いに相手の言葉を待つ。


 頬は赤く染まり、体は緊張でソワソワしている、雰囲気は何とも初々しい。


 まるで付き合いてのカップルの様だった。


 それに二人の様子も何とも可愛らしかった。


(……もう我慢出来ない!)


 だが、斗真はその雰囲気が耐えられなかった。


「なぁ、瑠衣」

「ん?」


 斗真は口を開く。


「なんで、俺を振ったんだ?」


 ド直球だった。

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