第292話 醜い感情

 二人は黙り続けている。


 瑠衣にはその行動が理解出来なかった。


「「……」」

 黙り続けている二人は目を合わせる。

 だが、そこに愛はない、今現在二人が行っているのは単純な意思の疎通であり、警告の出し合いだ。


「……チッ」


 その行動に見て瑠衣にある感情が襲い掛かる。


(何見つめ合ってんだよ!)


 嫉妬の感情だ。

 今までに感じた事がない程に重く歪んでいる醜い嫉妬だった。


(……ムカつく)


「ねぇ!いい加減答えて! 二人は「……別れたよ」」


 その雰囲気を切り裂く一言を放ったのは涙を流した瑠愛だった。


「え?」


 突然の発言に瑠衣は目を丸くする。


「い、今なんて?」


「私達は別れたよって」


 望んでいた事だが、それにより更なる混乱が瑠衣を襲った。

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