第291話 狂い花

 瑠衣は悩んでる様に見えた。


 それもそのはずだ、仲直りの為に背中を押したのにその二人はその妹との約束も果たせず関係を悪化させ、逆に気まづく冷えきった空間を展開してしまったのだから。


「瑠───「ねぇ二人はさ、まだ恋人っていう関係なの?」」


「「え?」」


 突然の台詞だった。

 何の脈絡も無く放たれた言葉に斗真と瑠愛は目を丸くして阿呆顔を晒した。


「……どうなの? 教えてよ」

「「……」」


 二人は黙り込んでしまった。

 その理由は動揺と罪悪感だろう、二人の関係は二人の間で勝手に破局、恋人関係は終了と言う形になっている。


 だが、何故かそれを二人は口に出す事は出来ない。


「二人はあんな事があっても恋人なんだ」


 瑠衣がそう呟いた。

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