第106話 現実味

「確かに酷い事したわ」

「何であんな噂を?」


「瑠衣はね、落ち込んでいたの、毎日、斗真に会いに行こうとしてた、それで、何か手を打たなきゃって思ったの」

「え?」


「斗真も瑠衣に強い警戒心持ってたし、会ったら確実に事故ると思ったの、だから予防線として噂を流したの」

「え?」


「思った通り効果はあったわ、対象は瑠衣と強い関係性を持つ人達に絞ってたし、そこだけに伝われれば、瑠衣が元カレに会いに行こうとしたら、必ず止めに入ってた」

「……」


「それに噂はすぐに消すつもりだったの、でも、ちょっと手こずっちゃって……ごめん、不快にさせて」


 瑠衣は謝った。


 聞いた内容は無理矢理感が強く、現実味がなかった。


 でも、斗真は納得した。

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