第103話 躊躇

「か、彼女!?」


 ド直球な質問だ。


(あんな喧嘩したのに、急に恋人いるの質問ですか……何とも嬉し……イヤイヤ、答えずらい質問だな)


 斗真は何と答えればいいのかが分からなかった。


 普通に答えればいいと思うが、言葉が出ない。

 何も躊躇する事はないのに声が掠れて出ない。


(…言うんだ!、ここで濁したら、駄目だ!、それに俺には瑠愛が…いるだろ!)


 斗真は躊躇う口を無理やり動かした。


「い…いる」

「え?」


「彼女いるよ」

「……」


 その返事を聞いた瑠衣は唇をかみしめた。


「そうか……残念」

「……」


「じゃあさ、その人ってどんな人?」


「え?…どんな人?」


「そう!、気になる!」


(それは……言えないだろ!)


 斗真は完全に言葉が詰まった。

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