義姉と俺。

第112話 光景

「居たか?」

 下の階にやって来ると、すぐに瑠衣がその喧嘩している声が聞こえる方を覗いていた。


「うん」

「どんな感じだ?」

「苛立ってるね~、男よりも女の方がヤバそうだね……ん?」


 言い争っているのは、男と女らしい。


(男女で喧嘩か……これは絶対に恋絡みの喧嘩だな、一番辛いやつやん!)


 斗真は勝手に喧嘩内容を想像していた。


「……マジかよ」

「ん、どうした?」


 斗真が聞くと瑠衣はクイックイッと覗いている方を指さした。


「……一体なんダァ!」

「びっくりでしょ?」


 斗真は驚き、言葉を失った。


「な、なんで……なんで…」


「驚きだよねぇ~ん、斗真、どうしたの?」


 斗真の顔は青ざめ、震えていた。


(何で……瑠愛が男と揉めてるんだよ)

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