第189話 暗闇の少女

「…ミスッた」


 少女は暗闇の中、歩き続ける。


 灯りもない、家の灯りもない、目の前は真っ暗闇、自分がどこを歩いているのかも分からない。


「……あの二人が…邪魔……だな」


 少女は拳を握り締める。

 そして、溢れ出る怒りのオーラ、顔は鬼のように恐ろしく、瞳は血走り、怒りで額に血管が浮き出る。


「…瑠斗と……同じ…ように……隠さ…ないとね」


 少女は胸ポケットの中にしまってあった、学生証を取り出した。


「……これは…もう……いらないかな」


 そう言って、少女は学生証を捨てた。


 その学生証には【騎兆蔭きちょういん 瑠斗】と書かれていた。


「…斗…真は……私の……もの……だから…彼に寄り付く…虫は…退治しないとね」


 少女は気味の悪い笑みを浮かべた。

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