第11話 本性

「じゃあ、私も部屋に戻るね」

「おう」


 そう言って瑠愛は部屋を出て行った。


 部屋を出るとすぐに彼女は階段の手すりに手を置き、その場に崩れた。


「あの……意気地無し」

 瑠愛の口から斗真の不満が漏れる。


(部屋には二人しか居ないんだよ?、ハグやキスぐらいしてもいいじゃん!、何が上の階に瑠衣が居るから無理よ、彼女がいんのになに妹を意識してんだか!)


 瑠愛は不満も溜まりご立腹だ。


「……こうなったら意地でしてる」

 瑠愛は何かを決心した様子だった。


 斗真は知らない……もう一つの彼女の顔。


(恋人が一つ屋根の下にいるのよ……それに今は義兄妹……ハァハァ最高じゃない、これは堪らないスリルだわ)


 瑠愛はギリギリのスリルを楽しむ女だ。

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