第51話 距離

「おはよう、瑠衣ちゃん」

「……おはよう、義兄さん」


 斗真が挨拶をすると、瑠衣も挨拶を返してくれる。

 だが、瑠衣の挨拶は冷たくて、暗い、そして瞳には光を感じなかった。


「……部活か?」

「うん、だから、もう行くね」


 瑠衣は鞄を手に取り、勢いよく家を飛び出して行った。


「……謝れた?」

 瑠衣が家を出て行ってすぐに瑠愛がリビングへと入ってくる。


 彼女に情けない姿を見せてしまったのは彼氏として恥だが、今は彼女の義弟として質問に答える。


「謝れなかった」

「そう、じゃあ帰ってきてからね」

「あぁ」

「じゃあ、私達も行きましょ?」

「……うん」


 昨日の夜、瑠愛に一緒に登校しようと誘われた為、斗真はいつもよりも早い時間に家を出発した。

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