第258話 判断

「……瑠衣」

「……瑠衣ちゃん」

『……』


 家族は完全に混乱していた。

 その様子を二人は客観的に見ていた。


「……余気魅、帰るぞ」

「えぇ」

 ここは帰るのが正しいと判断した二人はスっと席を立ち、すぐに家を出る事にした。


「ねぇ……二人とも」


 帰る支度を終え、部屋を出ようとした二人に声を掛けたのは斗真の実の母親だった。


「知ってたの?、斗真達が恋人同士だったって事」

「……」

「えぇ……斗真から聞いてました」

「そう」


 母親は下を向いてしまった。

 その顔は見る事は出来ないが、大体の想像はつく。


「…クッ……失礼します」

「失礼します……あ!、そのスマホあげるんで、瑠愛さんとの連絡にご活用下さい」


 その言葉を残して二人は姿を消した。

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