第229話 響く

「聡が言ってた、場所はここかな?」


 聡に斗真の居場所を聞いた余気魅は体育館第二倉庫前まで来ていた。


 辺りからは人の気配すらも感じ取れない……だが、謎の重い空気と強い殺気が何処からか流れてきていた。


「空気悪いな……ん?」


 余気魅は倉庫の扉前に来ると滅多に開くことがない、倉庫の扉が開いていた。いつも付いてる筈のチェーンも外されている。


(この中に居るの……か)


 余気魅は疑いつつも耳を澄ませた。


 その次の瞬間だった──中から女性の声が聞こえてきた。


「……時間切れだよ、斗真」


(!!!)


 その言葉の後に謎の生々しい音が聞こえた。

 その音は本来なら聞こえる筈もないが、何故か耳に響き渡った。


(斗真を……斗真が……許せない)

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