第230話 愛と愛

 そして、今に至る。


「……あんた……斗真に何してんの?」


 余気魅からは凄まじい殺気を感じる。


「何って見たら分かるでしょ?、斗真と愛し合っていたのよ」

「!」


 そう言って、彼女が見せてきたのは余気魅が一番見たくなかった光景だった。


 一筋の涙が零れ落ちる。


「愛し合った……それが?」

「そうよ、これが私の愛の形なのよ……てか私もすぐに行かなきゃだから、邪魔しないで貰える?」


 そう言って彼女は持っていた刃物を手首に近ずけていく。


「斗真、待ってて──ね」


 キィーーーン!


「……?」


 愛の勝負に勝ちを確信した次の瞬間、刃物は一瞬にして彼女の手元を離れ、遠くに飛ばされていた。


「いかせないよ……


(……今、何したの…コイツ)




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