第62話 すれ違い

 予鈴が鳴り響く。


 廊下に生徒の姿はほとんどなく、もう既に教室に戻って授業の準備を始めているのだろう。


「ハァハァ」


 斗真は息を切らしてながら、必死に教室に戻った、その間、午後からの授業に向かう先生方ともすれ違うが、挨拶をしている余裕はなく、ほぼ無視で進んで行った。


 斗真は階段を上がり始める。


「あっ!、義兄さん」

「え?」


 斗真が四階目指して、上がっていると、上の階から瑠衣が降りてきた。


「る、瑠衣?、どうしてここにいるんだ?」

「先輩に呼び出されたの……」

「そうか……あぁ~てか、もう授業始まるから、早く教室行けよ!、じゃあな」


 斗真は慌てた様子で瑠衣を置いて階段を上がって行ってしまった。


(それだけかよ……バカ)

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