第232話 お礼

「立ちなよ……早く」


 余気魅は腕を掴み、彼女を立たせる。


「何すんのよ!」


「!」


「ウッ!」


 立ち上がった次の瞬間、彼女は隠し持っていたカッターナイフを取り出し、余気魅の顔面目掛けて斬りかかってきた、だが、それを瞬時に察した余気魅は攻撃を躱し、逆に躱した流れのまま腹に回し蹴りを決めた。


「ァ」


 ナイフの直撃を躱す事には成功したが、刃先が頬を掠り、その傷口からたらりと血が流れる。


 対して腹に回し蹴りを喰らった彼女は涎を流しながら、しゃがみ込んで余気魅を睨んでいた。


「生徒会長やってくれましたね」


「ハァハァ」


 バァン!!


 生々しい衝撃音が倉庫内で響いた。


「……私もお礼させて頂きますね」


 余気魅は冷えきった声で囁いた。

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