第99話 涙

「──これが全てよ」


「……」


 斗真の反応に困った。


「そ、そうか、裏でそんな事が……」

「まぁ……アハハ」


 笑っているけど、顔は辛そうだった。


 斗真はその顔を見て申し訳ない気持ちで一杯だった。


「……ありがとう」

「え?」


 だから、斗真は瑠衣にお礼を伝えた。


「辛いのに話してくれてありがとな、瑠衣」


 その瞬間──瑠衣の瞳に涙が浮かぶ。


「瑠衣!?」


(そんなに辛かったのか!?)


「斗真!」

「ウオ!」


 突然、瑠衣が抱きついて来た。


「瑠衣?」

「……ごめんなさい、あの時、酷い事言ってごめんなさい!」


 瑠衣は涙を零す。


「もう、大丈夫だから……気にすんなよ」

「ウッ、ウッ…斗真ァァァ!」


 瑠衣は涙を流しながら、斗真の胸に頭を押し付けた。

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