第98話 荒れ

「…クソ野郎」


「え?」


「信じられない……浮気するとか」


「瑠衣、何言ってんだ!、俺は浮気なんてしてない」


「嘘だ!、さっき笑ったでしょ!、私は真剣に聞いたのにお前は笑った……それが証拠だよ!」


「は?、何言ってんだよ!」


 二人の口調は荒くなっていく。


「……最低だよ!」


「だから、俺は──」


「聞きたくない!」


 一方的だった。


「瑠衣!」


「こんな思いするなら……なきゃ良かった」


「は?」


「こんな思いするなら!、アンタの彼女になんてならなきゃよかった!、好きにならならなきゃよかった!」


「瑠衣?」


「消えろよ!、この……女たらしのゴミ屑野郎!」


「……」


 これが瑠衣が斗真を振った理由、そしてあの時、起こった出来事の全てだ。

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