第133話 出会い

「瑠愛と初めて会ったのは夜の公園だった──」


 ◎◎◎


 あの日の夜はいつもよりも闇に包まれていていて、心も闇に染まっていた、それに全てがどうでも良くなっていた。


「……なにやってんだろ…俺」

 苛立ちは無かった、ただの虚しさと孤独さ、それに自分の情けなさを痛感した。


 そして斗真は涙を流す。

 だが、声は発さず、心の叫びを無理やり押し殺した。


「……瑠衣」

 弱々しい声だった。


 公園で一人涙を流して元カノの名前を呼ぶなんて、結構ヤバい奴だと思うが……こればかりは仕方がなかった。


「……君、何してるの?」


 暗闇の中で聞こえてきたのは優しい声。


「…え?」

「君!?、泣いてるの?、だ、大丈夫?」

「!!」


 それが、瑠愛との出会いだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る