第167話 やっぱり鈍感

「……先輩、自分から話を逸らしましたね?」


 斗真は煽る様に聞いた。


「ごめん、心が辛くなってしまって…」

「……大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫……話を戻そうか」

「はい」


「斗真君の言う通り、確かに何回も話の食い違いはあった」

「やっぱり」

「でもね、それの大半は些細な事ばかりだったんだよ」

「え?」


「一緒に帰らなくなったり、ご飯を一緒に食べないとか、それ以外にも会話が全く噛み合わないって事もあったけど……特に気になりはしなかったんだよね」

「な、何でですか?」


 瑠斗は難しい顔をした。


「何でだろうね……もしかしたら、本当になのかも」


 瑠斗は笑った。


 だが、先程までの笑顔とは違う、何かを隠そうとしている笑顔だった。

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