第37話 悲しませない

「ただいまー」

「おかえりなさい」


 母が出迎えてくれた。

 母を見た瞬間、心に詰まった悩みと不安が少しだけ抜けていった。


 母だからか、それとも斗真がマザコンだからか、理由は分からないが、心の悩みと不安は抜けていった。


「姉妹ちゃん達は?」

「二人は生徒会と部活だよ」

「えぇ~じゃあどうしようかしら?」

「何が?」

「夜ご飯よ、家族皆で食べたいのにな」


(確かに家族の共有時間は必要だ……キツイけど……でもな)


 斗真は母の考えを否定したく無かった。


 だから───。


「先に風呂入ってくるよ」

「風呂に?」

「あぁ、俺長風呂だし、そしたら丁度いい時間になるだろ、そしたら皆で食べらるだろ?」

「……えぇ」


 そして斗真は風呂場へと直行した。

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