第88話 決意

(瑠衣が無事で良かった)


 斗真は安心していた。


 元カノとは言えど、一度は本気で愛した女性だ、そんな彼女が攫われ、男共に襲われそうになった……でも、それを救う事が出来た。


 これだけで、義兄としての役目を十分に果たしたと言える。


(今なら、話せるかな)


 今の自分なら、話せると思った。


 愛も、思い出も……全て。


(行くか!)


 そして、斗真は立ち上がり、部屋の扉を開けた。


「「え?」」


 目の前に立っているのは彼女、今まさに話に行こうとしていた女性。


「る、瑠衣……」

「あ、あのー」


 二人は頬を赤らめる。


 そして、落ち着きがなく、何故か初々しい。


 だからこそ、思いっきて声を掛ける。


「瑠衣──」

「と、斗真──」


「「少し話しませんか」」

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