第212話 病みカノ

「…斗真君は?」

 先生が斗真に聞いてくる、その目に光はなく【帰れ】と言う強い意志を感じる。


「……教室に戻ります」

「よろしい、じゃ~あ二人は任せておいてボコボコにして教室に帰すからね」


(先生やめとけ、聡はともかく余気魅はめちゃくちゃ強ぇぞ)


 斗真は内心で忠告した。


「それじゃ、失礼しますね」


 斗真は保健室を出て、すぐに教室に戻って行った。


 その時だった──背後に人影を感じたのは。


「……!」


【……待ってたよ……斗真♡】


「オマッ!、ガッ……」


 次の瞬間、腹に激痛が走り、斗真はその場に崩れ落ちていく。


 意識が朦朧としていく中、彼女の甘い声が聞こえてくる。


「斗真……もう逃がさないよ」


 それが……彼女の最後の言葉だった。

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