第9話 心残り

「はぁーホント最悪!」

 瑠衣は机に置いてあった筆箱を手に取り、思いっきり投げ飛ばした。


 筆箱のチャックは開いていて、中からシャーペンや消しゴム、色々な文房具が溢れできた。


(なんで……なんでアイツが!、アイツが……いるのよ!)

 瑠衣はとんでもない力で唇を噛み締めた。

 そのせいで、唇から血が流れていく。


「元カレと義兄妹……しかも部屋がアイツの隣ってホントに有り得ない……これじゃゆっくり出来ないじゃん」


 瑠衣は斗真側の部屋の扉を思っきり殴った。

 唇同様に血は出なかったものの、手は腫れてしまった。


「もう、アイツと会わないって思ってたのに忘れてたのに……諦めてたのに」


 瑠衣の瞳から涙が零れる。


「……まだ…好きなのに」

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