第154話 理想

「てかさ、元カノの姉と付き合うって思ったよね?、知らなかったの?」

「知ってたよ」

「マジか?、よく付き合えたね」


 瑠衣は驚き、斗真は笑った。


「あん時は瑠愛がいた……あいつが隣に居てくれたら、瑠衣が妹って聞いても特に気にしなかったんだよ」

「そうなんだ」


 瑠衣は優しく笑った。


「だから、許せなかったんだよ」

「え?」

「瑠愛は憧れで、理想の人だったんだよ……だから、許せなかった」


(本当に瑠愛姉が好きだったんだ)


 その言葉は心を締め付けた。


 瑠衣は悔しかった。


「瑠衣!?」


 瑠衣は立ち上がり、黙って斗真を見つめた。


「瑠衣?、どうした?」




「……私が瑠愛姉の事を忘れさせてあげる!」




「え?」


 そう言って瑠衣は部屋を出て行った。

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