第123話 手を引く

 結局、目的の瑠斗には会わずにそのまま、教室に戻ってきた三人はそれぞれ荷物をまとめていた。


 かなり長い間、教室を出ていた為、既に教室には誰も残っていなかった。


「それで、帰りに生徒会室に寄るのか?」

「……」

「どっちよ?」

「うーん……」


 斗真は唸りながら、考えた。

 悩む理由の一番の原因はやはり瑠斗の存在だ。


「いや、今行っても二人に悪いだろ」


 その時の斗真の顔は辛そうだった。


 そんな斗真に二人は呆れた。


「……斗真?」

「ん?」


 バァン!!


「ガッ!……」

 斗真は突然、余気魅に顔面を殴られた。

 その痛さは強烈で、涙が零れるほどだ。


「な、何すんだよ!」


「「いいから……行くぞ?」」

「は?」


 二人はそう言って斗真の手を引いた。

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