第261話 約束

「もう一回聞くぞ……俺との約束を破ったのか?」

「あぁ守れなかった」

「そうか……残念だよ」


 斗真は辛かった。

 恋人に襲わた事よりも姉妹が喧嘩中という事よりも、誰よりも信頼していた幼馴染み達に自分との約束を破られた事が一番辛く苦しかった。


「すまん」

「……いやいいよ」

 それでも、自分を助けてくれた事は事実であり、苦しくても自分が責める権利なんて無かった。


「でも、お前達は俺を助けてくれたんだ、怒ってなんてないよ、逆に感謝してる」

「でも、俺達は約束を破った……だから、その罰として……縁を─「その事なんだが」」


 聡の話を斗真が遮った。


「その約束は無しでいい」


「え?」


「だから、代わりに俺の頼みを聞いてくれないか?」

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