第165話 謎意識

 衝撃的だった。


「不倫が発覚したのは二年の夏だ」

「……」

「この事件は酷くてね、僕達の交際を知られてしまうきっかけにもなったんだよ」


 瑠斗は淡々と話しを続ける。


「そのせいで、僕達も別れるように言われてねー」

「え?」

「意味が分からなかったよ、親が起こした事件のせいで僕達も巻き添えを喰らったんだからね」

「それでも、二人は交際を続けたんですよね……」


「そうだよ、ずっと付き合ってた……僕だけがそう思っていた……」


「え?」


「実はね、彼女は既に僕達も同じ様に別れたと思ってたんだよ」


「は?」


「つまりね、僕は付き合ってると思ってたけどま……彼女は別れたと思ってたんだよ」


(何を言ってるんだ)


 斗真には理解出来なかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る