第195話 大晦日&新年編part2 四人で過ごす大晦日前日②
「そういえば二人は明日と明後日はどうするの?」
「今のところは特に決まってないな。夏休みに実家には帰ったから多分ここでまったり過ごしてるんじゃないか」
俺がそう言うと姫香が賛同するように頷いた。
「そうですね。この雪で電車も動かないでしょうから、私もこっちにいるつもりです」
「ふ~ん。二人でイチャイチャするつもりなんでしょ」
真美が姫香のことをからかうようにニヤニヤと笑いながらそう言った。
「し、しませんから!」
「本当に~?」
「し、しませんよ……たぶん」
頬を膨らませてボソッと呟いた姫香。
その頬はほんのりと赤く染まっている。
「可愛すぎて死ぬから!」
姫香の恥ずかしがっている姿を見て真美は悶えながらソファーに倒れこんだ。
「もう、からかわないでください!」
「ごめんごめん。姫香ちゃんの反応が可愛いから、つい、からかいたくなっちゃうんだよね!」
「真美さんのこと嫌いです!」
「いや〜!嫌わないで!」
なんて言いながら姫香に抱きつく真美。
「で、お前らはどうするんだ?」
「ん?真美の実家で過ごすことになってるよ」
「そっか。気をつけて行ってこいよ」
「大丈夫だって。真美の実家すぐ近くだし」
「そりゃあそうだけど、この雪だからな」
「あー、そういうことね。それにしても今年はよく降るね」
歩は立ち上がると窓の傍に向かった。
俺もそれに続く。
今年は例年以上に雪が降っている。
クリスマスから毎日のように雪が降り、現在までで五十センチも積もったらしい。
「そういえば、結局一度も雪遊びしなかったね」
「おい、そんなこと言ったら……」
俺が真美の方を見ると、歩の言葉に目を輝かせていた。
「あー!そうだよ!雪遊びしてないじゃん!今からやりに行くよ!」
そう言って立ち上がり真美は外に出る準備を始める。
「余計なこと言いやがって」
「何のこと~?」
「この確信犯め」
歩はニヤッと笑った。
「よし!準備完了!ほら、みんなも早く準備して!外に遊びに行くよ!」
「いや、俺はパス」
「無理に決まってるじゃん!強制参加だよ!」
「寒いから絶対に嫌だ」
「じゃあ、いいよ。翔だけ家の中にいれば?私たちは姫香ちゃんと楽しく遊んでくから。ね~。姫香ちゃん!」
「そうですね。私も雪遊びはしたいです」
「だってさ、じゃあ、お留守番宜しくね~」
姫香までもが真美側につき俺のことを挑発してきた。
もちろんそんな分かりやすい挑発に乗る俺では……。
「分かったよ。俺も行くよ」
「ほんと翔って姫香ちゃんのこと大好きだよね~」
「真美にだけは言われたくない」
俺は防寒着を着こんで外に出る準備をすると三人に続いて家から出た。
☆☆☆
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