第217話 新生活編part17 翔の秘密②
〈姫香視点〉
そして、翌日。
予想通り翔君は大学が終わると一人どこかへ向かって行きました。
私はバレないようにその後を追いかけることにしました。
どうやら、大学から真っ直ぐに目的地に向かうようです。
歩くこと十数分。
翔君はあるお店の中に入っていきました。
「ここは・・・・・・」
「古本屋さんだな」
「わぁ!」
お店の看板を見上げているとエプロン姿の翔君に声をかけられ私は変な声で驚いてしまいました。
「翔君・・・・・・」
「俺の後つけてきてただろ?」
「き、気づいてたんですか・・・・・・」
「そりゃあ、気づくだろ。てか、あれで隠れたつもりだったのか?」
まるで全てを見透かしたのように翔君は笑う。
「ごめんなさい!」
私はすぐさま謝る決断をする。
嫌われたくないから・・・・・・。
「なんで謝るんだ?」
「その、翔君の後を追ったので・・・・・・」
「あー。その、なんだ・・・・・・姫香が俺の後を追ってきたのは、俺が何も言わなかったからだろ」
翔君は少しバツが悪そうな顔をして人差し指で右の頬を掻いた。
「はい・・・・・・」
「悪かったな。まぁ、見ての通りだよ」
「というと?」
「このお店でバイトさせてもらってるんだ」
「バイト・・・・・・ですか」
どうしてバイトなんかしているのだろうかと思っていると、やっぱり翔君は私の心を見透かしたように「どうしてバイトをしてるのかって顔だな」と言いました。
「それは今は秘密ってことにさせといてくれ」
照れ臭そうに笑う翔君。
「分かりました。翔君がそう言うなら」
翔君への疑いが晴れた一安心した私は安らかな心で頷きました。
「ごめんな。隠してて」
「いえ、私も後をつけるような真似してごめんなさい」
「バレバレだったけどな」
「もぅ!それは言わないでください!」
恥ずかしい・・・・・・。
私が恥ずかしがってると翔君が頭を手を乗せて「バイトが終わったら、寄り道せずにちゃんと真っ直ぐ帰るから家で待ってて」と優しく微笑みました。
少しだけ翔君の仕事振りを見ると私は寄り道せずに家に帰りました。
☆☆☆
翔がバイトする理由は・・・・・・?
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