6月20日(日) 12:00〜

 今日は『バカップル』と勉強会だった。

 ファミレスで昼食を食べながらしようということになっていた。

 とりあえず、それぞれが食べたいものを注文した。俺は勉強をするの準備をした。


「おい。お前らも準備しろよ」

「えー。ご飯が来てからにしようよ」

「そうだよ~。それより、昨日はどうだったの~?」

「お前ら、勉強する気はないのか?なら、俺は帰るぞ?」

「待ってよ~。翔が教えてくれないと、赤点取っちゃう~」

「なら、さっさと勉強道具を出せって」


 毎度毎度、何回かおしりを叩いてやらないとやる気にならないんだから、こいつらは。

 もう、中学生の時から何度もやってきたから、慣れたけどな。

 2人はしぶしぶ、勉強道具をカバンから取り出してテーブルの上に置いた。


「よし、やるか」

「は~い」

 

 2人は気の抜けた返事をすると、数学の問題集を開いた。

 頼んだ食事が来るまで、黙々と勉強をする、とはいかなかった。

 氷室さんと違って、この2人は俺が1から教えてやらないといけなかった。

 

「ほんと、翔の説明は分かりやすいわ~」

「だよね。将来は先生とかになったらいいのに」

「いや、無理だろ〜。翔、子供に好かれなさそう」

「意外とこういう先生が人気出るんだって」


 2人は勉強の手を止めて、勝手に俺の将来について語っていた。


「おい、手が止まってるぞ」

「で、翔は将来何になるの?」


 将来か・・・・・・。


「特には決まってないな」

「俺はサッカー選手!」

「私は歩の専業主婦!」

「お前ら、本当に仲良いな」


 目の前でイチャつきだす『バカップル』。

 

「立派な夢があっていいことだが、留年したらその夢が遠のくぞ」

「それは困る。なんとかしてくれ、翔!」

「だから、手を動かせって。ちゃんと、教えてやるから」

「はいっ!先生!」


 歩は小学生みたいないい返事をした。

 真美もそれに倣った。


「返事だけは1人前なんだよな。2人とも」

「元気なのはいいことでしょ?」

「お前らは元気すぎるけどな」

「翔はこの前風邪ひいたもんな〜。で、どうだったんだよ?」

「何が?」

「何がって、分かってるくせに〜。なぁ、真美」

「たしかに、気になるな〜。2人はもう付き合ってるの?」

「は!?」


 いきなり、何言ってんだ真美のやつ・・・・・・。

 まだ、付き合ってるわけないだろ。

 告白なんてしてないのに・・・・・・。

 いや、昨日のはノーカンな。あれは完全に上の空だったからな。あんな雑なの絶対に嫌だろ。

 気持ちを伝えるなら、ちゃんと伝えたい・・・・・・。


「つ、付き合ってない。まだ・・・・・・」

「まだ、なんだ。それってつまり、姫香ちゃんのことが好きってこと?」

「言うわけないだろ。そんなこと」


 でも、きっと俺は氷室さんのことが、好き、なんだろうな・・・・・・。

 昨日、なんとなくそう感じた。


「まぁ、2人のやりとりと、今の翔の顔見たら分かるけどね」


 そう言って、真美はお腹を抱えて笑った。


「告白するなら、早いうちにしてあげてね」

「は?それは、どういう意味だよ?」

「さぁね〜。自分で考えたら?あ、料理が来た〜」


 タイミングの悪いことに、料理が運ばれてきた。

 真美がなんであんなことを言ったのか、その後も

聞くことはできなかった。


☆☆☆

次回更新18時!

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