6月20日(日) 20:00〜

『どうでしたか?今日の勉強会は?』

「めっちゃ疲れたよ」


 あの後、お昼ご飯を食べて2時間程勉強をした。

 誰かに教えるっていうのは、慣れているとはいえ、やっぱり疲れる。特にあの2人に教える時は気力を使う。


『それは、お疲れ様でした』

「ありがとう。氷室さんは仕事だったんだろ?」

『まぁ、私の方はいつも通りですよ』

「そっか、お疲れさん」

『ところで、テスト3日後ですね』

「そうだな」

『王野君は自分の勉強は大丈夫なんですか?』

「俺は大丈夫いつも通りするだけだから」

『目立たないように中間あたりの点数を取るってことですか?』

「まぁ、そのつもり」

『そうなんですね』


 学校のテストなんて赤点を取らない程度の点数を取っていればそれで充分。

 将来のことはまだ何も決まっていない。 

 一応、大学には進学するつもりだが、それだって、自分が何になりたいか考える時間が欲しいだけの時間稼ぎだ。

 歩や真美のように明確な未来を描けているわけではない。

 俺は、何がやりたいんだろな……。 

 

「俺の心配はいいから、真美のことを頼む。明日の放課後、図書室で勉強会をするんだろ?」

『ですね。真美さんと約束してます』

「一応、俺も参加するつもりだけど、1人だだと、限度があるからな」


 今日もまんべんなく教えたつもりだが、あいつらがきちんの理解できているとは限らないしな。


『私は教えるのは苦手なんですけどね』

「まぁ、氷室さんなら大丈夫だろ。頭いいし」

『それとこれとは別問題です。自分で解くのは得意ですけど、人に教えるのは昔から苦手なんですよ?でも、真美さんは王野君のお友達ですから、できないと無下にするのは……』

「そっか、無理はしなくていいからな。ほんとにダメそうな時はちゃんと俺がカバーするから」

『その時はよろしくお願いしますね。その代わりって言うのも何なんですけど』

「ん?」

『テストが終わったら、また私とデートしてくれませんか?』

「わ、分かった」

『やった。それなら頑張れそうです!』

「現金な奴だな」

『何を言いますか。王野君とデートできるなら、なんだってできます!』

「大げさだろ」

『大げさじゃありません!』


 誘ってくれたらデートくらいならいつでもするんだけどな……。

 もちろん、俺から誘う勇気はない……。


『約束ですからね!来週の土曜日は開けておいてくださいね!』

「了解」

『じゃあ、そろそろ寝ますね』

「あぁ、おやすみ」

『はい。おやすみなさい』


 氷室さんとの定期電話を終えて、俺はベッドに寝転がった。

 

「デートね……」


 氷室さんは俺とそういう関係になりたいとか思っているのだろうか。

 いわゆる、恋人関係ってやつに……。

 俺は氷室さんのことをどう思っているのだろうか……。

 

「どう思っているかじゃねえよな……」


 俺の中ではとっくに答えは出ているはずだ。

 俺は氷室さんのことが好きだ。

 自分の気持ちに嘘はつきたくはないよな……。


「寝るか」


 てことは、あれをしなきゃだよな。 

 そう思いながら、俺は目を瞑った。


☆☆☆

次回更新7/1(木)9時!


残り9日・・・・・・。

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