6月21日(月) 7:00〜
いつもの時間に起きて、いつものように学校に向かう。
今日は晴れているから自転車で行くことにした。
そろそろ、本格的に夏が始まりそうな感じの天気をしていた。
顔に当たる日差しが眩しかった。
「明日から半袖でもよさそうだな」
そう思いながら、自転車で学校を目指した。
下駄箱で靴を履き替えて、教室に向かう。
そして教室の中には氷室さんの姿があった。
相変わらずの一番乗りである。
「おはよう。氷室さん」
「おはようございます。王野君」
「あれ……」
いつもと違う……。
さすがに氷室さんもこの暑さには耐えられなかったか。
「どうかしましたか?」
「半袖だなと思ってな」
「ですね。さすがに暑すぎて、半袖で来ちゃいました」
「涼しそうでいいな。俺も明日から半袖を着ようと思ってたところだった」
「そうなんですね」
氷室さんの夏服姿は清潔感があった。
見ているだけで心が洗われそうな気がした。
思わず眺めていたら、氷室さんは俺から顔を逸らした。
「み、見過ぎですっ!」
「あ、悪い。つい、美しすぎて……」
「また、そうやって……」
氷室さんは頬を赤くしながら、俺の方に向かってくる。
「明日は王野君の夏服姿、穴が開くまで眺めますから、覚悟しておいてくださいね!」
「そんなこと言われたら着てきにくいんだが?」
「絶対に着て来てくださいね!」
そう言って、氷室さんは頬を膨らませてテーブルの上に顔を置いた。
「わ、分かったよ」
「なら、許しましょう」
「それは、もっと眺めていてもいいってことか?」
「なっ!?そういうことじゃないです!」
「あはは、冗談だ」
「べ、別に王野君が見たいなら、見てもいいですけど……でも、やっぱり、恥ずかしいからダメです!」
氷室さんは机に伏せて顔を隠してしまった。
なぜだか分からなったが氷室さんをからかいたくなってしまって、からかってしまった。
「ごめんって、顔上げてよ」
俺はそう言いながら氷室さんの頭を猫の頭をなでるように優しくなでた。
すると、氷室さんがバッと顔を上げて目を丸くした顔で俺のことを見た。
「い、今、何を……」
「ごめん、嫌だったか……」
「いえ、嫌なわけないじゃないですか……むしろ、嬉しいです……」
「そっか、ならよかった」
自分でやっといてなんだが、まともに氷室さんの顔が見れない。
教室の中に静寂が訪れた。
俺と氷室さんはそれぞれ反対方向を向いていた。
俺は廊下側。
氷室さんは窓側。
その後は何も会話することなく、ただ時間だけが過ぎて行った。
☆☆☆
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