6月21日(月) 16:00〜
放課後になり、4人で図書室に向かった。
四人掛けのテーブルに座り、勉強道具をカバンの中から出した。
俺の隣には歩。
対面には女性陣といった座り方になった。
その方が勉強を教えやすいから、そうなった。
真美のことはとりあえず、氷室さんに任せて、俺は歩に専念する。
「時間もあまりないから、やるぞ」
「はーい。今日もお願いします。翔先生!」
歩がおどけた口調でそう言った。
その歩の言葉に氷室さんが乗っかった。
「先生、ですか?」
「そうそう、氷室さんも思わない?翔って教え方上手だし、なんだかんだ面倒見いいし、先生に向いてると思うんだよね。って話を昨日したんだよ」
「確かに……向いてるかもしれませんね」
「やっぱり姫香ちゃんもそう思うよね!」
氷室さんの同意に真美のテンションが上がて声が大きくなった。
「おい、ここ図書室だからな」
「あ、ごめん。静かにするね」
「もう、俺の先生いじりはいいから、勉強始めるぞ」
「はーい」
「じゃあ、氷室さん。よろしく頼む」
「任せてください」
男女に分かれて、それぞれの勉強を始めた。
昨日よりも2人は集中していた。
この環境がいいのか、氷室さんがいるからなのか。
まぁ、集中してくれていた方が俺としても有難いからよかった。
チラッと氷室さんたちのことを見た。
ちょうど、氷室さんが真美に教えているところで、真美は頷きながら氷室さんの説明を真剣に聞いていた。
どうやら、俺の手助けは必要なさそうだな。その様子を見て俺はそう思った。
そんな感じで、勉強をしていると、時間はすぐに進み最終下校時間を知らせるチャイムが鳴った。
「もうこんな時間か~」
「なんか、早かったな」
「2人とも集中してたからな。昨日もこのくらい集中してくれれば、もっとはかどったんだがな」
「それは、無理だよ~。昨日は氷室さんがいなかったし~」
「ということらしい、明日も真美の面倒を見てやってくれないか?」
俺は氷室さんの方を見て言った。
「分かりました。明日もお仕事はないので大丈夫ですよ」
「助かる。ありがとう」
「やった~!明日も姫香ちゃんに教えてもらえる~!」
「よかったな」
「姫香ちゃんの説明も翔と同じくらい分かりやすかったよ!」
「ほ、本当ですか?」
「うん!分かりやすかった!」
「そうですか。それなら、よかったです」
氷室さんは頬をほんのりと赤くして嬉しそうに微笑んだ。
「さて、帰るか」
「そうですね」
勉強道具をカバンにしまって、四人で図書室を後にした。
2人とは校門のところで分かれて、俺は氷室さんと一緒に帰り道を歩いていた。
「家まで送っていくよ」
「なら、自転車で送ってください」
「ん、分かった」
そう言って、氷室さんは自転車の荷台に乗った。
「ほら、早く行きましょっ!」
「なんか、嬉しそうだな」
「王野君の自転車の後ろに乗るの好きなんです!」
「そっか。とりあえず、一旦降りてくれ、こけるから」
「あ、そうですね」
氷室さんが降りたのを確認すると、俺は自転車に乗った。氷室さんが再び乗るのを確認して、自転車を氷室さんの家に向かって走らせた。
☆☆☆
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