6月23日(水) 17:00〜

 4人分の料理が揃ったところで、いただきますをした。

 どうやら俺は唐揚げ定食を頼んでいたらしい。俺の前には唐揚げ定食が置かれていた。


「ところでお2人さん。テストが終わったということは、あれが始まるよ!」

「あれって?」

「何ですか?」

「鈍いな〜。この時期でテスト終わりっていったら、あれしかないでしょ!」

「夏休みだね!」

「歩、正解!」

「あー。夏休みか」

「翔、リアクション薄っ!」

 

 俺はてっきり、氷室さんとのデートのことを言ってるのかと思った。

 まさか、2人にバレてるのかと内心ドキドキした。

 まぁ、バレていてもいいんだが、恥ずかしい。


「夏休みな。特に思い入れないからな」

「今年は違うんじゃない?」


 真美はニヤッと笑ってそんなことを言った。


「だって、姫香ちゃんがいるじゃん!」

「はっ!?な、何言ってんだよ!」

「え〜。楽しみじゃないの〜?」

「いや、それは・・・・・・」

「どうなんです?」


 まさかの氷室さんからの追求。

 いや、楽しみに決まってるだろ!


「・・・・・・楽しみ、だな」

「だってさ、姫香ちゃん!夏休み一緒に楽しもうね!」

「はい!楽しみです!」

「じゃあ、これから夏休みに何やるか、考えちゃう〜?」

「いいですね。考えましょう」

 

 いつになく、ノリノリの氷室さん。

 テストが終わって浮かれ気分になるのは氷室さんも例外ではなかったみたいだ。

 それから、夏休みにやりたいこと討論は激しさを増していき、気がつけば店の外は暗くなっていた。


「そろそろ、帰らないか?」

「えっ!もうこんな時間!」

「ですね。なんだか、時間が経つのが早いです」

「だね〜!」

「もっと話したかったです・・・・・・」

「また、明日も話そうよ!」

「はい」


 女性陣は完全に意気投合していた。

 それに取り残された俺と歩は苦笑いを浮かべてその様子を眺めていた。 


「見ているだけで癒されるな」

「そうだな」

「てか、今更だけど夢のようだわ〜。あの『深紅の瞳を持つ天使様』と、こうやって同じテーブルでご飯を囲んでるの」

「そういえば、ファンだったな」

「俺も真美もな。だから、内心はめっちゃ喜んでる。氷室さんの前だとあんまり出してないけどな」

「そうなのか」

「今はファンというより、友達として接したいと思ってるからな」

「そっか」


 2人がそう思ってくれていることが俺は嬉しかった。

  

「いつだったか、誰かさんにめっちゃ注意されたしな」

「そんなことあったな」

「さて、帰るか」

「そうだな。2人とも帰るぞ」


 2人は同時に「はーい」と返事をし、俺たちは支払いを済ませて、お店を出た。


「じゃあ、また明日ねー」

「はい。また明日」

「またな」

「おう、また」


 お店の前で、『バカップル』たちとは別れ、俺は氷室さんを家まで送って行った。


「楽しそうだったな」

「はい!楽しかったです!」

「それは、よかったな」

「夏休みの楽しみが増えました!一緒に楽しみましょうね!王野君!」


 氷室さんは、夏休みが待ち遠しい子供みたいな笑顔を俺に向けた。

 そんな無邪気な顔を向けられて、俺も夏休みが楽しみになった。


「そうだな。じゃあ、また明日な」

「はい。また明日!おやすみなさい」

「おやすみ」


 氷室さんを家まで送り届けて、俺も自分の帰路についた。


☆☆☆

次回更新14時!


残り6日・・・・・・。

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