6月23日(水) 16:00〜『テスト当日』

 いつもと変わらない朝の時間を氷室さんと過ごし、テストが始まった。

 テスト中はシャープペンが紙のあちこちを行き交う音だけが聞こえる。 

 さて、俺も問題を解き始めるか。

 1限目は国語だった。

 大方、俺が山を張っていたところばかり問題として出題されていた。

 これなら、あの2人もなんとか赤点は免れるだろう。 

 そう思いながら、回答欄を埋めていく。

 半分くらい埋めたところで、俺は手を止める。

 このくらいでいいか・・・・・・。

 いつもと同じくらいの点数になるように調節をした。

 自分のテストを終え、チラッと横見に氷室さんのことを見た。

 

「大丈夫そうだな・・・・・・」


 氷室さんは手を止めることなく、解答用紙にシャープペンを走らせていた。

 それから、数学、理科、社会、英語と、4教科のテストをこなしていった。

 どのテストもだいたい俺があの2人に教えたのと似たような問題が出題されていた。

 あの2人の頭にしっかりと内容が身についていれば、まず間違えなく赤点は回避できるだろうと確信していた。

 

「「はぁ〜終わった〜!」」


 無事に5教科のテストを終えて、俺たちは打ち上げと称して4人でファミレスにやってきていた。

 『バカップル』が同じタイミング、同じ仕草でテーブルにべたーっと顔を伏せた。


「お2人とも、本当に仲がいいんですね」


 そんな、様子を見た氷室さんは、うふふと笑った。


「で、2人ともテストはどうだったんだよ?」

「「それはもう、バッチリ!」」


 またしても同じタイミングでピースサインを作った2人。

 この2人は絶対に将来いい夫婦になるわ。

 なんだか、おかしくて俺も笑ってしまった。

 

「そうか。なら、よかった」

「ありがとう!翔!」

「また、頼むな!」

「少しは自分で勉強することを覚えろよな」

「「は〜い」」


 2人は間延びした返事をした。

 絶対に次回も頼ってくるな、と俺は確信した。

 まぁ、いいか。なんだかんだ、俺もあの時間を楽しんでるしな。


「氷室さんはどうだった?」


 俺は隣に座っている氷室さんの方を向いて聞いた。

『バカップル』はメニューに釘付けになっていた。


「私もバッチリです!」


 そう言って、氷室さんもピースサインを作った。


「そっか。よかったな」

「はい。王野君のおかげです!ありがとうございました」

「氷室さんに関しては、俺はほとんど何もしてないけどな。むしろ、手伝ってもらって助かったくらいだし」

「ならその分、しっかりとお礼してもらはなきゃですね。土曜日楽しみにしてますね」


 氷室さんが俺の耳元でそう囁いた。

 

「わ、分かった」

「じゃあ、私たちもメニュー見ましょうか」

 

 そう言って、氷室さんがメニュー表をテーブルの上に広げた。

 そのメニュー表を俺と氷室さんは一緒に見た。

 思ったより、氷室さんの顔が近くにあり、俺は何を頼んだのか覚えていなかった。


☆☆☆

次回更新7/3(土)9時!

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