6月22日(火) 16:00〜

 テスト前最後の勉強会を図書室で行っていた。

 半袖を着てきたせいか、冷房の効いた図書室は少し肌寒かった。


「じゃあ、最後の勉強会を始めるか」

「よろしくお願いします!」


 座り方は昨日と同様にした。

 今日も氷室さんに真美の面倒を見てもらうことにする。

 昨日も何やら、秘密の勉強会をしていたみたいだしな。

 俺は氷室さんに、真美のことを頼む、と目で合図を送った。

 俺が何を言いたいのか分かったのか、氷室さんは頷いた。

 と思ったのだ、どうやら違ったみたいだ。


「えっと、氷室さん?」

「なんですか?」

「いや、それは俺のセリフなんだが……」


 なぜ、ずっと見つめてくる?

 氷室さんは俺のことをずっと見つめていた。

 視線が気になって仕方ないんだが!?


「昨日言ったじゃないですか」

「昨日……」


 そういえば、昨日の朝言ってたな。

―—―穴が開くまで眺める、って。

 まさか、それを実践してるか……。

 だから、さっきからずっと俺のことを見つめているのか……。


「いや、普通にやめてほしいんだが?」

「やめませんよ?」

「勉強に集中できん」

「別に王野君はしなくても大丈夫なんじゃないんですか?」

「俺じゃなくて……って、もういい。好きなだけ見てていいよ。その代わり、ちゃんと真美に教えてやってくれよ」

「もちろん分かってますよ」


 そう言って、氷室さんは、ふふ、と笑った。

 氷室さんの視線がものすごく気になったが、歩に勉強を教えることに集中して、なるべく目に入れないようにした。

 結局、氷室さんは真美に教える時以外は、じっと俺のことを見つめていた。

 

「それで、姫香ちゃん。翔にはいつ告白するの?」

「30日にしようかと……」

「そっか。私にできることがあったら、何でも言ってね。めっちゃ応援してるから」

「はい。ありがとうございます。困ったら真美さんに助けてもらいます」

「任せて!その分野なら得意だから!」


 女性陣は何やらごにょごにょと囁いあっていた。その声は男性陣には届いていなかった。


「なんだか、すっかりと友達になってるな」

「そうだな」

「氷室さん、青春感じてるかな?」

「それは本人に聞いてみないと分からないな」


 でもきっと……。

 俺は真美と話している氷室さんの顔を見つめた。

 その顔は楽しそうにキラキラと輝いていた。

 それから、もう少しだけ、勉強をしてそれぞれの家へと帰っていった。


☆☆☆

次回更新18時!


残り7日……。

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