6月22日(火) 12:00〜

 いよいよ、テスト前日となった。

 ということで、屋上で昼食を食べながら、勉強会を開いていた。


「最後の詰め込みだな」

「だなー。頑張るわー!ということで、今日もよろしくお願いします!先生!」

「了解。真美の方は大丈夫そうか?昨日は見てやらなかったけど」

「まぁ、大丈夫かな〜。昨日の夜、秘密の勉強会を姫がちゃんとしたし!」

「なんだそれ?」

「楽しかったよね〜」

「そうですね。王野君のことを少し知れました」


 氷室さんは嬉しそうにそう呟いた。

 俺のことを知れた・・・・・・。

 まさか、真美のやつ、また余計なことを・・・・・・。

 俺は真美のことを睨みつけた。


「翔、こわ〜い!」


 そう言って、真美は氷室さんの後ろに隠れた。


「氷室さん、何を聞いたんだ?」

「そ、それは言えません。真美さんとの約束なので!」

「じゃあ、仕方ない。真美に聞こうか」


 俺は立ち上がって、問い詰めるために真美の方に近づく。

 しかし、それは氷室さんに阻止された。


「ごめんなさい。私が聞きたいって言ったんです。だから、真美さんを責めないでもらえますか?」


 氷室さんは目をうるうるとさせてそう言った。

 まったく、ずるいな・・・・・・。

 好きな人にそんな目で見つめられたら、怒るに怒らないだろ。

 俺は仕方なく、ため息を1つ吐くと元いた場所に座り直した。


「まぁ、変なことじゃなければいいんだけどな」

「大丈夫です」

「氷室さんがそう言うなら、信じるよ」

「ありがとうございます」


 俺は真美に、次はないからな、という視線を送った。

 まぁ、どうせ無駄なんだろうけどな・・・・・・。

 真美は俺の顔を見るとニヤッと笑うだけだった。


「よし、じゃあ、昼休憩終わるまで、勉強するぞ」

「「はーい」」


 『バカップル』が元気よく返事をした。

 氷室さんは静かに頷いた。

 昨日の放課後と同じような感じで、2人1組になって勉強をすることにした。

 さすがに2人もテスト範囲の内容が頭に入ってきていたのか、俺や氷室さんが手助けをする回数は減っていた。

 この2人は『バカ』だが、それはただ単に勉強をしないから、いつも赤点ギリギリになるのであって、やる気を出せばそこそこの点数を取れるくらいには、要領のいい頭を持っている。

 なんだかんだ、いつも赤点回避してるしな。

 この2人の場合、勉強をすることより、青春を謳歌することにベクトルを置いてるだけなような気がする。

 普段から、真面目に復習でもしてれば、テスト前にこんなに困ることはないんだろうに、といつも思いながら、2人に勉強を教えていた。


 昼休憩の終わりを知らせるチャイムが鳴るまで俺たちは集中して、テスト勉強に取り組んでいた。


☆☆☆

次回更新7/2(金)14時!

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