6月24日(木) 20:00〜『母親からの電話』
『夏休みenjoy』というのが、真美作ったグループの名前だった。
そのグループに1番最初にメッセージを入れたのは真美で、昨日と今日のお昼に話し合った、夏休みにやりたいことリスト、という内容だった。
俺はお風呂あがりにそのメッセージに既読をつけた。
そのリストを眺めながら、夏休みのことを想像する。
きっと、今年の夏は楽しい夏休みになるだろう。そんなことを思っていると、電話がかかってきた。
一瞬、氷室さんかと思ったが、どうやら違ったみたいだ。スマホの画面には『母親』と映し出されいた。
「もしもし」
『翔〜!元気にしてる〜?』
夜のテンションには相応しくない明るい声が電話越しに聞こえてきた。
これは・・・・・・。
「お母さん、お酒飲んでるだろ?」
『飲んでる〜!』
俺のお母さんはお酒好きだ。
特に日本のお酒が好きらしく、日本に戻ってきた時は、毎日のようにお酒を飲んでいる。
「日本に戻ってきてたんだな」
『昨日帰ってきた〜』
「お父さんは?」
『昇さんは疲れたみたいで、寝ちゃった』
だからか、いつもならお母さんの相手はお父さんがする。
長旅で疲れてお父さんは眠っている。かまってくれる人がいなくなったお母さんは寂しくなって俺に電話をかけてきたってところか。
「なら、お母さんも寝たら?疲れてないのか?」
『私は全然!お酒飲んだら、元気出ちゃった!』
相変わらずパワフルな人だな。
40代にしては、元気すぎるほど元気だ。俺の母さんは。見た目も童顔で肌艶もあって、まだまだ20代でも通るかもな。
『だから、相手して〜』
「いいけど、21時までだからな。21時になったら、俺、寝るし」
『あら、いつからそんなにお利口さんになったの』
「いろいろあったんだよ」
8時間以上睡眠をしたい俺は、6時に起きようと思ったら、22時までには寝ないといけなかった。
氷室さんと勝負(勝手に)するようになってから、自然とその生活リズムが体に染み付いていた。
昔は深夜まで起きてることなんて、当たり前だったのになぁ。
『彼女でもできたの?』
「はっ!?で、できてない」
『その動揺は怪しいわね〜。もしも、いるなら、お盆にこっちに帰ってくる時に、ちゃんと連れてきなさいよ!』
「だから、いないって・・・・・・」
今のところは・・・・・・。
俺だって考えている。
いつ、氷室さんに告白をしようかって・・・・・・。
その結果によってはもしかしたら、実家に氷室さんを連れて行くことになるかもしれない。
まぁ、フラれることもあるんだけどな。
氷室さんで思い出した。
お母さんは「ひろくん」のこと覚えているだろうか。
「なぁ、お母さん。「ひろくん」って覚えてる?ほら、昔、俺がよく一緒に遊んでた」
男の子だと思ってた子・・・・・・。
『懐かしい名前ね〜。もちろん、覚えてるわよ。その子のこと。というか、その子、今は有名人じゃない?』
「え・・・・・・。なんで、知ってるの?」
『なんでって、あんな特徴的な女の子、忘れるわけないじゃない。昔も可愛かったけど、今はもっと可愛くなったわね。日本にいる時に、よく雑誌やテレビで見かけるわ』
「お母さんは「ひろくん」が女の子だって知ってたのか?」
『知ってたもなにも、女の子にしか見えないじゃない。あんな、可愛い子。なに?あんた、まさか姫香ちゃんのこと男の子とでも思ってたの?そういえば、ずっと「ひろくん」って呼んでたわね』
「なんで、教えてくれなかったんだよ・・・・・・」
そしたら、もっと早くに気がつくことができたのに・・・・・・。
『てっきり、気付いててそう呼んでるのかと思ってたけどね』
「そんなわけないだろ。俺はずっと男の子だと思ってたよ」
『まぁ、あんたが間違えるのも無理ないわね。あの子ずっとズボン履いてたし、髪の毛もショートヘアで、一見すると男の子みたいな見た目だったものね。で、姫香ちゃんがどうしたの?』
「いや、なんでもない・・・・・・」
同じ学校にいるなんていったら、連れてきなさいよって、絶対に言うだろうから伏せておくことにした。
その後はお母さんの仕事の愚痴を永遠と聞かされた。気がつけば、21時を30分も過ぎていた。
「そろそろ、寝てもいいか?」
『え〜。もう少しだけ』
「無理、眠たい」
そう言って、俺は欠伸をした。
『仕方ないわね。本当に眠たいみたいだし、今日はこの辺にしといてあげるわ』
「そうしてくれると、助かる。おやすみ。お母さん」
『おやすみ。また、相手してね』
「分かったよ」
お母さんとの電話を終えると俺はすぐにベッドに横になった。
それから、すぐに眠りについた。
☆☆☆
次回更新7/4(日)9時!
残り5日・・・・・・。
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