第238話 番外編part6 1月5日
「あけおめ~!」
リビングに入ってきた真美の大きな声で俺の腕の中で眠っていた翔斗がびくっとした。
「声がでかい」
「あ、ごめん。寝てたんだ」
翔斗が寝ていることに気が付いた真美は「ごめん」と顔の前で手を合わせた。
そんな真美の後ろから歩と姫香。そして二人の子供の真奈と美姫が手を繋いで入ってきた。
「あけましておめでとう」
「あけおめ」
歩たちがやってきたので、俺は翔斗を赤ちゃんベッドに寝かせた。
「ママ~。美姫のお部屋で真奈ちゃんと遊んでくるね~」
「いってらっしゃい」
「行こ真奈ちゃん!」
「うん!」
子供たちを見送った姫香はキッチンに向かった。
真美もキッチンに向かい、歩はこっちにやってきた。
「今年も無事に集まれたな」
「そうだな」
「やっぱりこれがないと新年が始まったって感じがしないな!」
姫香と同じことを言う歩。
もはや俺たちの中でそれは共通認識らしい。
「毎年の恒例行事だからな」
「だよな!」
「まさかこんなに長い付き合いになるとはな」
「何言ってんだよ! おじいちゃんになっても絡みまくるからな!」
そう言ったの声が聞こえたのかキッチンで姫香と料理を作っていた真美が「同じく!」と同意してきた。
「おばあちゃんになっても遊びに来るんだから!」
俺たちの会話に姫香も参加してきた。
「ふふ、それはおばあさんになっても毎日楽しく笑ってそうですね」
「それは保証するよ! だから、おばあちゃんになってもよろしくね?」
「もちろんですよ」
「やった! 姫香ちゃん大好き!」
見た目はすっかりと大人になった真美の心は子供のままのようだ。
高校生の時みたいに真美は姫香に抱きついていた。
そんな懐かしい光景は何年経っても変わらない。
思い出は色褪せない。
俺たちはお昼になるまでのんびりとした時間を過ごしていた。
「二人を呼んできますね」
そう言って姫香は子供達を呼びに行った。
「じゃあ、私はお昼の準備しよー」
「あ、俺も手伝うよ」
歩たちがお昼ご飯の準備に向かった。
俺も手伝おうかと立ち上がったその瞬間、翔斗が目を覚まして泣き出した。
お腹が空いたか、おむつ交換だろう。
俺は翔斗の元に向かっておむつを確認した。
どうやら、おむつ交換の方らしい。
おむつ交換も慣れたもので俺は手際良くおむつを交換した。
それでも泣き止む気配がなかったので、お腹も空いているのかもしれないと、俺は姫香の元に翔斗を連れて行った。
「姫香。頼む」
「分かりました。じゃあ、二人をお願いします。私は向こうで授乳してきますね」
「了解。美姫、真奈ちゃん。お昼ご飯食べよっか」
「はーい!」
「はい」
天使のような二人と手を繋いでリビングに戻った。
「翔斗君は授乳?」
「ああ」
「じゃあ、もう少し待とうか。二人もご飯もう少し待ってね」
「はい」
「分かった」
聞き分けのいい天使達は姫香が戻ってくるまで椅子に座って楽しそうにおしゃべりをしていた。
そんな様子を見て俺たち三人は頬を綻ばせていた。
結局三人とも親バカなのだ。
自分の子供が可愛くて仕方がないのである。
もちろん、一番可愛いのは美姫だけどな。
「お待たせしました」
翔斗への授乳を終えた姫香が戻ってきて昼食が開始した。
テーブルの上には今年二度目のおせちが並んでいた。
☆☆☆
読みたい話とかあったら教えてください!笑
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