番外編⑤ 7/24(土)『姫香と図書館デート』
その日は姫香が図書館に行きたいと言ったので図書館デートをすることになった。
図書館は二週間前に行った、パン屋さんをさらに進んだ先にある。
パン屋さんでお昼に食べるパンを買って、図書館に向かった。
「ここが翔君がよく行く図書館ですか」
「そうだよ」
「素敵なところですね」
姫香は図書館の前にある休憩スペースを見てそう言った。
図書館の前には休憩スペースがある。ベンチが置いてあったり、芝生のところがあったりと好きなところで本を読めるようになっていた。
「翔君はいつもここで読書を?」
「春と秋はここで読むかな。芝生に寝転がったりベンチに座ったり」
「芝生に寝転がって読書やってみたいです!」
「秋になったらな」
「約束ですよ?」
「うん」
休憩スペースを後にして、俺たちは図書館の中に入った。
「涼しいですね」
「冷房がついてるからな。夏の時期は図書館の中で本を読むことをオススメするよ」
「確かに、中で読んだ方が捗りそうです」
とりあえず、俺たちは日本文学のコーナーに向かうことにした。
「小説でいいか?」
「う~ん。せっかくなのでいろいろと見てもいいですか?」
「もちろん」
姫香がそう言ったので、俺たちはいろんなコーナーを見て回ることになった。
そんな中でも姫香が興味を示したのは料理本のコーナーだった。
「料理本とかもあるんですね」
「あるな。大抵の本がここにはあるぞ」
「へぇ~。そうなのですね」
「なんなら、姫香が表紙を飾った雑誌とかもあると思うぞ。探すか?」
「い、いいですっ!探さなくていいですからねっ!」
俺が少しからかうと、姫香は顔を赤くして恥ずかしそうにしていた。
「絶対に探さないでくださいね?」
「それは、フリか?」
「ち、違いますから!」
「お姫様図書館ではお静かに」
思った以上に大きな声を出した姫香の唇に人差し指を当てて、そう言った。
「翔君がからかうからでしょ」
姫香は、ぶぅっと頬を膨らませてそっぽを向いた。
「ごめんって」
「後でクリームパンを半分くれたら許してあげます」
「分かった」
「じゃあ、許してあげます。私は少しここの本を見るので、翔君も好きなところに行っていてもいいですよ?」
「そうか。じゃあ、俺はさっきの日本文学のところにいるから、読みたい本とか借りたい本が決まったら来て。貸出カードの作り方教えるから」
「分かりました」
姫香を料理本のコーナーのところに残し、俺は日本文学のコーナーに向かった。
日本文学コーナーを少し行ったところに雑誌コーナーがあるのだが、行くのはやめておいた。
それから、姫香がやってくるまで俺はどの小説を借りようかと本の背表紙(タイトル)を見ながら選んでいた。この時間は俺にとって幸せな時間だった。
そんな幸せな時間に浸っていると、後ろから声をかけられた。
「翔君。お待たせしました」
「読みたい本は見つかった?」
「はい!」
そう言った姫香は数冊の料理本を胸に抱えていた。
「それはよかった」
「なので、次は翔君のオススメの小説を教えてくださいな」
「了解」
俺は二冊の本を姫香にオススメした。
どちらも恋愛小説だ。
俺も数冊の小説を持って、姫香と一緒に貸出カウンターへ向かった。
「そこにある黄色い紙に住所と名前を書いて、中央のカウンターの人に渡したらカードを作ってくれるから」
「分かりました」
俺は姫香から本を受け取った。
姫香は黄色い紙に住所と名前を記入すると中央のカウンターに持って行った。
貸出カードはすぐに出来上がった。
「じゃあ、そのカードを持って一番右のカウンターにいる人に本と一緒に出して」
「はい」
俺も姫香の後ろに並び順番を待った。
本の貸し出しをしてもらって、図書館を後にした。
「これでいつでも本が借りられるようになったな」
「図書館っていいところですね。これは通いたくなりますね」
「でしょ?これだけ通ってもまだまだ知らない本がたくさんあって、行くたびに新しい本と出会えるから、何回行っても飽きないんだよな」
「初めて行きましたけど、その気持ちよく分かりました。また一緒に行きましょうね!」
「そうだな」
その後は図書館の前にある休憩スペースでパンを食べてり本を少し読んで家に帰って行った。
姫香が読書家になるのは、また別のお話……。
☆☆☆
ここまでお読みいただきありがとうございます!
皆さんは図書館に行かれますか?
行かれる方はどのコーナーがお好きですか?
回答していただけると嬉しいです!
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