番外編④ 7/14(水)『姫香と朝の公園』

 午前6時。

 俺は姫香と一緒にあの公園にやってきてた。

 夏は日が登るのが早い。

 あたりはすっかりと明るくなっていた。

 そして、昼間の蒸し暑さなど、どこかにいってしまったかのように涼しい。

 

「ふぁ〜。眠い」


 俺は大きな欠伸をした。

 

「眠そうですね」

「誰のせいだろうな?」

「ふふ、誰のせいですか?」


 姫香は惚けたように言う。

 それでも、お礼を言うことは忘れない。


「昨日はありがとうございました。おかけで寝れました」

「そりゃあ、よかった」

「もう1人では絶対に見ないと心に決めました」

「それがいいかもね」


 そう言いながら、俺はもう一度欠伸をした。

 いつもより数時間短い睡眠時間のせいで、欠伸が止まらない。


「まだ時間がありますし、少し休憩していきますか?」

「そうだな。姫香がいいなら少し休憩していきたいかも」

「もちろんいいですよ。休憩していきましょうか」


 俺たちは近くのベンチに移動して座った。

 座った瞬間に、気が抜けてしまった。

 瞼が重い・・・・・・。

 涼しい風と森林の心地いい音が俺をまどろみに誘い込む。


「眠たかったら寝てもいいんですよ?ちゃんと起こしてあげますから」


 そんな姫香の囁きが決め手となった。

 俺はベンチにもたれかかって、目を瞑った。

 すぐに眠りについた。


「よっぽど眠かったんですね。起きててくれて、ありがとうございます」

 

 私は翔君の頭を自分の膝の上に乗せた。

 そして、ゆっくりと翔君の頭を撫でる。

 翔君はすっかりと眠っている。

 きっと、何を言っても起きないだろう。


「昨日の言葉録音しておけばよかったですね。それが少し残念です。だけど、また言ってくれますよね?」


 そう言って私は翔君の頬にキスを落とした。


「私も翔君のこと大好きですよ」


 それから30分程度、翔君を寝かせてあげた。


☆☆☆


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る