6月7日(月) 17:00〜
ほんのりと頬の赤くしたピンク色の可愛らしいパジャマ姿の氷室さんの後に続いて家の中に入った。
「すみません。いきなりでしたので、あんまり片付けてなくて」
「こっちこそ、悪いな。いきなりで」
「いえ、来てくれただけで嬉しいですから」
片付いてないと言った氷室さんの言葉とは反対の綺麗に整理整頓されたリビングに案内された。
「めっちゃ綺麗に整理整頓されてるな」
「ありがとう、ございます」
生で聞くとさらにガラガラ感が増すな。
声出してるだけでも辛いんだろうな。
「氷室さん。無理に声出さなくていいからな」
「え、あ、はい。ありがとうございます」
「声出すの辛いだろ?」
「そうですね、少し、だけ」
「もし辛いなら、LIMEでやりとりするか?」
「いえ、大丈夫です」
「本当に?」
「はい。それに、せっかく、王野さんが来てくれたのですから、直に話したいですし」
「ん?何か言ったか?」
なんでもありません、と首を振って氷室さんはリビングの真ん中にある2人がけの白いソファーにちょこんと座った。
氷室さんが俺の方を向き、隣をポンポンと叩いた。深紅の瞳が俺のことを見上げている。
「座っていいのか?」
「はい」
「じゃ、じゃあ、遠慮なく」
いつもと違う氷室さんの姿と弱り切った雰囲気と初めての女性の部屋の訪問に俺はガチガチに緊張していた。
握り拳数個ぶん開けて、俺は氷室さんの隣に座った。
「そ、そうだ。これ、買ってきたけど」
「すみません。ありがとうございます」
「ご飯は食べたのか?」
「それが・・・・・・」
「食べてないのか」
「はい」
もしかして、さっきまで寝てたのかもしれないな。それなら、悪いことしたな。
それに、座ってるのも相当辛いのかもしれないな。
「すみません。せっかく来てもらったのに・・・・・・あの、横になっても、いいですか?」
「なったら、ダメな理由はないからな。俺に遠慮しないでくれ」
「じゃあ、すみません。ちょっと横になります」
やっぱり座っているのは辛かったらしい、氷室さんはそう言ってコテンっと横になった。
俺の膝の上に。
すると、すぐに可愛い寝息をかいて氷室さんは眠ってしまった。
「マジかよ・・・・・・」
まぁ、たしかにこっち側に寝転ぶしかスペースなかったけど・・・・・・。
てっきり、俺は寝室に行くものだと・・・・・・それが、まさか俺の膝の上って・・・・・・。
「う、動けん・・・・・・」
それにしても、俺のこと信用しすぎだろ。いくらなんでも無防備すぎる。普通、初めて家に上げた異性に、いくら弱ってるとはいえ、寝顔見せるなんてことしないだろ。てか、眠らないだろ。なにされるか分かったもんじゃないぞ。もちろん、そんなことしないけど。
俺はどうすればいいんだ・・・・・・。
考えても仕方ないので、とりあえずしばらくこのままの状態で寝かせてあげることにした。
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