6月7日(月) 16:00〜
「それにしても、氷室さんが風邪で休みとはな。仕事で休みならよくあるけど風邪で休みって初めてのことじゃないか?」
「そうだよね。大丈夫かな?氷室さん?ねぇ、どう思う?翔?」
「なんで、俺に聞くんだよ」
「え、だって何か知ってるかなって思って」
まぁ、知ってるといえば知ってるな。というか十中八九一昨日雨に打たれたせいだよな。
やっぱり、昨日、声が変だと思ったのは電話のせいではなかったみたいだ。
まったく、なにが大丈夫だよ。風邪ひいてんじゃねぇか。
「で、どうなの?」
「知らないって」
「ちぇ〜。つまんないの〜」
バカップルは俺が氷室さんと土曜日に2人で出かけたことを知らない。
もちろん、言うつもりはなかった。言ったら絶対にからかってくるからな。
さて、ここで俺の中に選択肢が生まれる。
1.氷室さんのお見舞いに行く
2.お見舞いに行かずに自分の家に帰る
別に俺と氷室さんはお見舞いに行くような間柄じゃないけど、今回のは半分は俺のせいみたいなもんだからな。
「お見舞いに行くか」
俺は2人に聞こえないようにそう呟いて立ち上がった。
「じゃあ、俺帰るわ」
「おう、また明日な」
「またねぇー」
俺はそそくさと教室を出て、学校を後にした。
その途中、コンビニでゼリーやフルーツや飲料水を買って行くことにした。
「そういえは、家は知ってるけど、何階に住んでるんだ?」
土曜日にマンションの前まで送ったが、十階建ての何階に住んでいるのかは聞かなかった。
「まぁ、いいか。管理人にでも聞けば」
コンビニでお見舞い用品を一通り買い揃え、氷室さんのマンションに到着した。
「すみません」
「はーい」
エントランスで声をかけると、感じの良さそうな白髪の管理人さんが顔を出した。
「ここに氷室姫香さんって住んでると思うんですけど、何階に住んでるか教えていただけませんか?」
「お兄ちゃん、姫香ちゃんとはどういう関係だい?」
「えっと、クラスメイトです。氷室さん、風邪をひいたみたいで、今日学校休んでて、そのお見舞いに」
「姫香ちゃんが、風邪・・・・・・。それで、朝、姿を見なかったのか。分かった。姫香ちゃんは5階に住んでるよ」
「5階ですね。ありがとうございます」
「お兄ちゃん、姫香ちゃんのことをよろしくな」
管理人さんは何故か深刻そうな顔でそんなことを言った。
どう返していいか分からない俺はとりあえず管理人さんに頭を下げて5階に向かった。
エレベーターで5階に上がり、管理人さんに教えてもらった部屋番号の前に行き、呼び鈴を鳴らした。
一回目は無反応。
その後、数回呼び鈴を鳴らして、ようやく氷室さんが出た。
「は、はい。どちら様ですか?」
ガラガラ声の氷室さんが出た。
昨日よりひどくなってるな。声出すだけでも辛いんだろうな・・・・・・。
「王野だけど、大丈夫か?」
「え!?王野さん!?どうして?」
「どうしてって、お見舞いに来たんだ」
「今、行きます」
呼び鈴向こうでドタバタと聞こえたが大丈夫か?
それから、しばらくしてパジャマ姿の氷室さんが顔を出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます