6月7日(月) 7:00〜 『氷室さんが来ない朝』
氷室さんと電話をした翌朝、俺は午前6時に目を覚ました。
顔を洗い、朝食を食べ、制服に着替え、6時30分に家を出た。
俺の家から学校までは20分くらい。
これなら、午前7時には学校に行けそうだな。
結局、俺は氷室さんに勝ちたいと思っているらしい。
学校には予定通り6時50分に到着した。
下駄箱で上履きに履き替え、教室に向かう。
朝の誰もいない学校はやっぱり静かでいいな。俺の足音だけが廊下に響き渡っていた。
教室の前に到着し、扉に手をかける。ゆっくりと開け教室の中を見渡す。
教室の中には誰もいなかった。どうやら、今日は俺が一番乗りのようだった。
ようやく、氷室さんに勝てた。
「・・・・・・嬉しい」
不覚にも俺はそう思ってしまった。
2年生になって二ヶ月。ようやく、俺は氷室さんに勝てた。その優越感に浸りながら、俺は自分の席に座った。
教室の中を見渡す。
「1人だとこんなに広く感じるんだな」
俺はそんなことを思いながら、カバンから文庫本を取り出して開いた。
優越感に浸りながらの読書は、なんだかいつもより集中して読むことができた。
気がつけば、30分以上が経過していた。
「遅いな、氷室さん・・・・・・」
いつもなら、もう来てるはずなんだけどな。
俺はもう一度、教室を見渡した。教室に誰もいないっていうのは、なんだか寂しいもんだな。
と、その時、廊下から聞き慣れた足音が聞こえてきた。
現在時刻は7時30分。
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